2020/10/18 カテゴリ
よんでみた!
日本企業にデザイン思考を取り入れるには?「ドラッカー」×「デザイン思考」×「戦略論」で実行しよう!
「デザイン思考をビジネスに取り入れたいけれど、何からはじめたらよいの?」とモヤモヤしている方に、おすすめの1冊です!
こんにちは、みんデザ編集部です。
今回は、山脇秀樹氏の『戦略の創造学:ドラッカーで気づき デザイン思考で創造し ポーターで戦略を実行する』を読んでみました。
著者の山脇秀樹氏は、ハーバード大学で経済学博士号(Ph.D.)を取得し、2009~2012年に米国カリフォルニア州にあるピーター・F・ドラッカー経営大学院で学長を務められました。欧米のビジネススクール初の日本人学長として注目されています。
本書では、「ドラッカー」「デザイン思考」「戦略論」の3つの思考を掛け合わせることで生まれた“新しい戦略モデル”を紹介しています。デザインアプローチとマネジメントアプローチを融合した“新しい戦略モデル”とは、いったいどんなモデルなのでしょうか。
まずはその背景について、3つの「なぜ?」から紐解いていきたいと思います。
今回は、山脇秀樹氏の『戦略の創造学:ドラッカーで気づき デザイン思考で創造し ポーターで戦略を実行する』を読んでみました。
著者の山脇秀樹氏は、ハーバード大学で経済学博士号(Ph.D.)を取得し、2009~2012年に米国カリフォルニア州にあるピーター・F・ドラッカー経営大学院で学長を務められました。欧米のビジネススクール初の日本人学長として注目されています。
本書では、「ドラッカー」「デザイン思考」「戦略論」の3つの思考を掛け合わせることで生まれた“新しい戦略モデル”を紹介しています。デザインアプローチとマネジメントアプローチを融合した“新しい戦略モデル”とは、いったいどんなモデルなのでしょうか。
まずはその背景について、3つの「なぜ?」から紐解いていきたいと思います。
なぜ、ドラッカー?
ピーター・F・ドラッカー(1909〜2005)は、「マネジメントの父」と称される人物です。今やビジネスにおいてあたりまえのように使われている「マネジメント」という言葉。このマネジメントの概念を考えた人物こそが、ドラッカーなのだそう!欧米だけでなく、日本のビジネスパーソンにも大きな影響を与え、その著作は40冊近くあります。
ドラッカーの本を読んだことがない方も、2009年に刊行された小説、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(通称『もしドラ』)のヒットは、記憶に新しいかもしれません。映画やアニメにもなり、幅広い世代でドラッカーブームが起こりました。
ドラッカーの本を読んだことがない方も、2009年に刊行された小説、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(通称『もしドラ』)のヒットは、記憶に新しいかもしれません。映画やアニメにもなり、幅広い世代でドラッカーブームが起こりました。
では、なぜ「ドラッカー」×「デザイン思考」×「戦略論」なのでしょうか?
その答えは、「成功するイノベーターは、左脳と右脳を使う……。彼らは数値を見て、そして人間をみる。」というドラッカーの名言の中にあります。「人間をみる」とは、まさにデザイン思考の「人間中心」アプローチ!さすが、ドラッカー先生です。
著者によると、「デザイン思考」を実際のビジネスで役立てる際の不十分さを補完する要素こそが、「ドラッカー」のマネジメントであり、経済学を礎にする「戦略論」なのだそう。デザイン思考の「直感的なアプローチ」とマネジメントの「分析によるアプローチ」。イノベーションを起こすためには、この2つのアプローチを融合させることが重要なのです。
その答えは、「成功するイノベーターは、左脳と右脳を使う……。彼らは数値を見て、そして人間をみる。」というドラッカーの名言の中にあります。「人間をみる」とは、まさにデザイン思考の「人間中心」アプローチ!さすが、ドラッカー先生です。
著者によると、「デザイン思考」を実際のビジネスで役立てる際の不十分さを補完する要素こそが、「ドラッカー」のマネジメントであり、経済学を礎にする「戦略論」なのだそう。デザイン思考の「直感的なアプローチ」とマネジメントの「分析によるアプローチ」。イノベーションを起こすためには、この2つのアプローチを融合させることが重要なのです。
なぜ、“新しい企業モデル”が必要なの?
ところで、なぜ今の日本には、「ドラッカー」×「デザイン思考」×「戦略論」という、“新しい戦略モデル”が必要なのでしょうか?
著者は、日本企業を取り巻くビジネス環境は、グローバル競争の激化により、特にこの15年間で大きく変化したと指摘しています。
日本企業の歴史を遡ると、明治維新直後の近代化から、常に欧米の先進国に学んできました。第二次世界戦後の復興から高度成長期においてもそれは変わらず、「追いつき、追い越せ」がスローガンでした。日本企業は、フロントランナーであった欧米企業の既存の技術・製品を改良・改善・小型化し、生産性を高め、コストを下げる努力を続けてきたのです。
こうした背景により、日本では、明治維新以降、昭和、そして平成にいたるまで、広いテーマで課題を考える必要がなかったそうです。つまり、これまでは、欧米企業が広いテーマでの課題設定を行っていたので、日本企業は、それを改善・改良していくための細かいテーマの課題を考えるだけでよかったのです。
特に日本企業は、機械・電気機器・自動車といった製造業の分野で、幅広い製品モデルをすばやく開発し、いち早く新製品を市場に提供してきました。そのため、これまでの日本企業が目指していたイノベーションは、絶え間ない改良・改善に基づく、製品の質の向上とコストの削減を同時に達成するための“プロセス・イノベーション”でした。
著者は、日本企業を取り巻くビジネス環境は、グローバル競争の激化により、特にこの15年間で大きく変化したと指摘しています。
日本企業の歴史を遡ると、明治維新直後の近代化から、常に欧米の先進国に学んできました。第二次世界戦後の復興から高度成長期においてもそれは変わらず、「追いつき、追い越せ」がスローガンでした。日本企業は、フロントランナーであった欧米企業の既存の技術・製品を改良・改善・小型化し、生産性を高め、コストを下げる努力を続けてきたのです。
こうした背景により、日本では、明治維新以降、昭和、そして平成にいたるまで、広いテーマで課題を考える必要がなかったそうです。つまり、これまでは、欧米企業が広いテーマでの課題設定を行っていたので、日本企業は、それを改善・改良していくための細かいテーマの課題を考えるだけでよかったのです。
特に日本企業は、機械・電気機器・自動車といった製造業の分野で、幅広い製品モデルをすばやく開発し、いち早く新製品を市場に提供してきました。そのため、これまでの日本企業が目指していたイノベーションは、絶え間ない改良・改善に基づく、製品の質の向上とコストの削減を同時に達成するための“プロセス・イノベーション”でした。
ところが、「日本の企業が多くの欧米企業を、特に製造業の分野で追い越しフロントランナーになったころから、大きなテーマで新しい意味を提供するイノベーションを起こすことに不慣れな経営者は先を見通せなくなってしまった」と、著者は分析しています。
グローバル競争が激化している今だからこそ、日本企業はこれまでの課題を見つける姿勢を問い直し、世界に向けて「新しい意味」を提供するイノベーションを起こす必要があるのです。
グローバル競争が激化している今だからこそ、日本企業はこれまでの課題を見つける姿勢を問い直し、世界に向けて「新しい意味」を提供するイノベーションを起こす必要があるのです。
なぜ、日本企業がデザイン思考を導入するのは難しいの?
もちろん、日本企業もこうしたビジネス環境の変化に適応・対応するために、何もしていないわけではありません。
例えば、デザイン思考を取り入れている日本のブランドとして、「無印良品(MUJI)」が紹介されています。無印良品(MUJI)といえば、以前みんデザで取材をさせていただき「無印良品流デザイン思考」について、お話を伺いました。デザイン思考を取り入れている日本企業として、海外でも注目されているようです。
(「無印良品流デザイン思考」に関する詳しい記事はこちら→ 前編/後編)
また、社内人材養成プログラムにデザイン思考を取り入れている企業も増えています。読者の皆様のなかには、デザイン思考に関する本を読んだり、講座に参加した経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
ところが、「デザイン思考の講習が講習のための講習に終わってしまい、実際のイノベーションあるいは企業モデルの改革に結びつかない」という声も多く聞かれるそう!
それでは、日本企業がデザイン思考を取り入れる際のハードルとは、いったい何なのでしょうか?著者によると、以下の4つのハードルがあるそうです。
① デザイン思考において重要である、システムとしてアイディアを出していくというプロセスが、組織の中に埋め込まれていない。
② 既存企業の場合、デザイン思考を戦略として企業のカルチャーに埋め込み、組織を変革する必要がある。
③ デザイン思考は問題解決のツールだけではなく、企業の目的・使命、ビジョン、そしてそれらを達成するための戦略を構築する手段であることへの理解が不十分。
④ 日本企業はこれまで、質の向上、製品の機能化、バリエーションの多様化に焦点を合わせ、同質的製品を市場にいち早く出す競争に追われていた。
そして著者は、これらのハードルを認識したうえで、日本企業がグローバル競争を勝ち抜いていくためには、「デザイン思考」を使って、「新しい意味」「新しい世界観」「共感」を創ることが重要であると指摘しています。
例えば、デザイン思考を取り入れている日本のブランドとして、「無印良品(MUJI)」が紹介されています。無印良品(MUJI)といえば、以前みんデザで取材をさせていただき「無印良品流デザイン思考」について、お話を伺いました。デザイン思考を取り入れている日本企業として、海外でも注目されているようです。
(「無印良品流デザイン思考」に関する詳しい記事はこちら→ 前編/後編)
また、社内人材養成プログラムにデザイン思考を取り入れている企業も増えています。読者の皆様のなかには、デザイン思考に関する本を読んだり、講座に参加した経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
ところが、「デザイン思考の講習が講習のための講習に終わってしまい、実際のイノベーションあるいは企業モデルの改革に結びつかない」という声も多く聞かれるそう!
それでは、日本企業がデザイン思考を取り入れる際のハードルとは、いったい何なのでしょうか?著者によると、以下の4つのハードルがあるそうです。
① デザイン思考において重要である、システムとしてアイディアを出していくというプロセスが、組織の中に埋め込まれていない。
② 既存企業の場合、デザイン思考を戦略として企業のカルチャーに埋め込み、組織を変革する必要がある。
③ デザイン思考は問題解決のツールだけではなく、企業の目的・使命、ビジョン、そしてそれらを達成するための戦略を構築する手段であることへの理解が不十分。
④ 日本企業はこれまで、質の向上、製品の機能化、バリエーションの多様化に焦点を合わせ、同質的製品を市場にいち早く出す競争に追われていた。
そして著者は、これらのハードルを認識したうえで、日本企業がグローバル競争を勝ち抜いていくためには、「デザイン思考」を使って、「新しい意味」「新しい世界観」「共感」を創ることが重要であると指摘しています。
まとめ
こうした背景により誕生した新しい戦略モデルが、「ドラッカー」×「デザイン思考」×「戦略論」による、“共感と未来を生む経営モデル”です。
本書は、タイトルにあるように、ドラッカーで「気づき」、デザイン思考で「創造し」、ポーターで戦略を「実行する」ことができるよう、実践すべき内容が簡潔に書かれています。また、随所にドラッカーの名言が散りばめられており、マネジメント哲学の原点に触れることができるのも魅力です。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、新しい働き方や新しい組織のあり方が問われている今だからこそ、読者の皆様のちょっとした実践が、大きなイノベーションにつながるかもしれません。「デザイン思考をビジネスに取り入れたいけれど、何からはじめたらよいの?」とモヤモヤしている方は、ぜひお手にとってご覧ください。
本書は、タイトルにあるように、ドラッカーで「気づき」、デザイン思考で「創造し」、ポーターで戦略を「実行する」ことができるよう、実践すべき内容が簡潔に書かれています。また、随所にドラッカーの名言が散りばめられており、マネジメント哲学の原点に触れることができるのも魅力です。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、新しい働き方や新しい組織のあり方が問われている今だからこそ、読者の皆様のちょっとした実践が、大きなイノベーションにつながるかもしれません。「デザイン思考をビジネスに取り入れたいけれど、何からはじめたらよいの?」とモヤモヤしている方は、ぜひお手にとってご覧ください。
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『戦略の創造学:ドラッカーで気づき、デザイン思考で創造し、ポーターで戦略を実行する』
著者:山脇秀樹
出版:東洋経済新報社
発行:2020年4月
15 件
この記事のキーワード:
デザイン思考