2020/11/20  カテゴリ 

きいてみた!

新しい「福祉のものづくり」の可能性とは? 障害のある人が共創して作る「デザインマスク」を取材してきた!

「福祉のものづくり」の可能性とはどういうものでしょうか?今回は、障害のある人たちと共にものづくりを行なっている、NPO法人麦わら屋さんにお話をうかがいました。

こんにちは、みんデザ編集部です!
今回は、群馬県前橋市にあるNPO法人麦わら屋さんにお話をうかがいました。
麦わら屋さんといえば、以前みんデザの記事で、「アート活動」の立ち上げについてご紹介しました。
(前回の記事はこちら↓)
「新プロジェクト始動!福祉作業所のアート活動を事業ベースに乗せたい! - みんなのデザイン思考」
今回は、ソーシャルアパレルブランドNODDとのコラボレーションで「デザインマスク」が誕生したという話を聞き、さっそく取材に行ってきました。もちろん、気になるアート活動のその後もお伝えします。
NPO法人麦わら屋
群馬県前橋市で障害福祉サービス事業所を運営し、障害のある人たちと共に日々活動をしている。活動内容は、内職作業、野菜づくり、メダカの養殖、味噌づくり、アート活動など。製品はオンラインストアでも販売を行なっている。
【公式Web】 http://mugiwaraya.sun.bindcloud.jp/
【オンラインストア】 https://mugiwaraya00.thebase.in/

マスクの製品化に挑戦!

まず、支援員の伴内さんにお話をうかがいました。
笑顔でお話ししてくださった伴内さん

笑顔でお話ししてくださった伴内さん

マスクの製品化のきっかけは、伴内さんが自分で作った「布マスク」を麦わら屋で着けたことでした。今でこそ様々な種類のマスクが手に入るようになりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で全国的にマスクが品薄状態の2020年2月頃のことでした。

伴内さん:ネットで「ダブルガーゼで作るマスク」というのを目にして、マスクが売っていなかったので自分で作りました。ものづくりは前から好きだったんです。自分で生地も購入しました。作ったマスクを事業所でも着けてみたのがはじまりでした。

手作りマスクを麦わら屋で着けてはみたものの、すぐに、マスクを麦わら屋の製品にしようという話にはなりませんでした。

伴内さん:3月に入り、コロナの影響で内職の仕事が減ってしまい、利用者※さんの手が空いてしまったんです。そこで、イベントとして、麦わら屋のみんなで一緒に、「手作りマスク体験をやりましょう」という話になって。みんなで作ることになったんです。それがきっかけとなり、その後、「麦わら屋でもマスクを作って販売しましょう」ということになりました。
新型コロナウイルス感染症の影響により、内職の受注が減るなど、障害のある人の労働環境にも大きな変化がもたらされました。その一方、マスクに対する消費者のニーズは急速に高まりました。こうした社会の変化や消費者のニーズに素早く対応し、新しいプロジェクトとして動き出した「布マスク」の製品化。利用者のみなさんはどのように取り組まれたのでしょうか。

伴内さん:利用者さんは「手作りマスク体験」で、すでにマスク作りを経験していたので、製作の流れがわかる人も多く、「ゴム通しならできます」など、みんなでできることを分担しながらやりはじめました。

マスク作りは、生地を切る、縫製する、アイロンをかける、袋に詰めるなど製作工程が多いため、それぞれの利用者の方の得意なことを活かして、作業を分担しました。例えば、利用者の小林さんは、最後の糸処理の工程を担当しています。マスク作りを通して、小林さんの「特に縫われた後の糸を処理するのが好き」という気持ちと、糸を切るといった細かい作業が得意なことが新たにわかりました。
※「利用者」という呼称について
NPO法人麦わら屋が運営している「障害福祉サービス事業所」は、障害者総合支援法に基づき、障害のある人たちに、就労継続支援という「障害福祉サービス」を提供しています。そのため、障害福祉サービス事業所内において、障害のある人たちは、障害福祉サービスの「利用者」として位置づけられています。
利用者の方の得意なことを活かして作業を分担しています

利用者の方の得意なことを活かして作業を分担しています

さらに、利用者の方だけでなく、普段は調理員として働く高橋さんも、得意な縫製の技術を活かし大活躍されました。
「作ることが好きなのでマスクづくりは楽しいです」と話し...

「作ることが好きなのでマスクづくりは楽しいです」と話してくださった髙橋さん

麦わら屋では、障害の有無に関係なく、同じ働く仲間として職員も利用者も全員が得意なことを活かし、ものづくりに取り組んでいます。
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