2019/10/08  カテゴリ 

インタビュー

アイデアがどんどん出るブレストの秘訣とは?「面白がる会」の唐品さんに聞いてみた!(後編)

面白がる会の主催・唐品知浩さんにお聞きするブレストの秘訣。
前編では、面白がる会が生まれたいきさつと、ブレストの場で大事にしていることをお話いただきました。
後編では、面白がる会がどのように広がり、実際に何を生み出してきたか、そして唐品さんが企画を立てるうえでの着眼点に迫ります。

「悩んでいるくらいならいっしょに面白がろう」そして、ねぶくろシネマが生まれた

長いインタビューですが、テンション変わらず質問一つひと...

長いインタビューですが、テンション変わらず質問一つひとつに答えていただいています!

――さきほどは「不動産を面白がる会」が始まったいきさつをお伺いしました。その後のエピソードを教えてください。

「不動産を面白がる会」がきっかけで、2015年に仲間と一緒に「ニュー不動産展」というトークイベントを渋谷・ヒカリエで実施しました。駅距離だけで不動産を語らないニュータイプの不動産会社さんをお呼びしていろんなテーマでこれからの不動産業界を語ってもらいました。
いきなり場が大きくなりましたが、つながりだけでイベントを創りました。いくつかテーマを設定したのですがすべてのセッションがほぼ満席でしたね。

同時並行で、わたしが入居していた調布のコワーキングスペース「co-ba調布」管理人だった薩川くんが「面白がる会」を調布でやりたいと。それをきっかけに毎週のように、調布で開催しました。
そのテーマの一つに「映画の街・調布を面白がる」という回があって。調布には角川と日活大映の映画撮影所があるのに、映画館が潰れてしまってなかったんです。

ぼくは調布で生まれ育っていないので、なぜ調布が映画の街と呼ばれるか、まったく知りませんでした。ましてや、映画の街なのになんで映画館すらないのかなって思ってました(笑)。それを実際、役所の人と話していても、活性化するための新しい打ち手があまりなかったんですよね。
悩んでいるくらいなら、調布市民と市役所で、いっしょに面白がる会をやりませんか? と提案し、OKをいただきました。

その面白がる会で出たアイデアが、調布駅前の壁画にもなっている野外映画「ねぶくろシネマ」ですね。

アイデアは「どこでもできる汎用性」と「誰もやっていないこと」を大事に

――その後、面白がる会はどのように広がり今に至っているのでしょうか?

千代田区を皮切りにして、日本橋、江東区、田町などさまざまなエリアで自治体や地元に関連する企業さんと一緒に開催してきました。また、自治体だけではなく、「PTAを面白がる会」「恋愛離れを面白がる会」など、課題を持つ業界、団体などについても面白がる会を開催してきました。

企業名でも、自治体名でも、サービスでも、◯◯に入れるものは何でも大丈夫。ねぶくろシネマのコンセプトも一緒ですね。プロジェクターと電源があればどこでもできる。
特定の状況や、その場所でしかできないものをできるだけ作らないように、汎用性のある企画や課題を扱うようにしていますね。

――汎用性のあるものは、曖昧になってぼやけたりしませんか?

汎用性だけではなく、企画を実施する判断基準は「誰もやっていないこと」。
たとえば「棟下式」ですが、建物のお葬式は誰もやっていなかったこと。建物を壊すことは誰もビジネスにしていなかったので、ビジネスチャンスを見出しました。

誰もやっていないことに、チャンスがあると思っています。そもそも、いきなり酒を飲んで始めるブレスト会議なんてどこにもないですよね(笑)。日本人は生真面目なので、殺風景な会議室で真面目な顔して話し合っても、共感されるいいアイデアは生まれないと思っています。お酒が入って少し気が大きくなっているくらいがちょうどいい。もちろん、飲みすぎて、出したアイデアを忘れないようにはしていますけれど(笑)。

面白がる会から生まれた商品やサービス

生まれたアイデアやサービスを笑顔で語る唐品さん

生まれたアイデアやサービスを笑顔で語る唐品さん

――面白がる会から生まれたサービスは他にもありますか?

たくさんあります。そのうちの一つは「柏の場(Bar)」ですね。
「柏の葉キャンパス駅」の駅前は整備されすぎている印象がありました。住民の方の言葉をそのままお借りすると「街がきれいすぎて心許せる場所がない。パジャマでも気楽に行けるところ、一杯だけ飲める場所がほしい」。

駅前にあるUDCK(柏の葉アーバンデザインセンター)のラウンジで「市民がバーテンになって、市民の話が聞けるバーがあればいいじゃないか」というアイデアが出て、毎月店長を市民から公募する形でバーの運営を始めたんです。もう18回(※取材時点での開催回数)も柏の場(Bar)は開催されていますね。

横浜の日ノ出町で開催した「日ノ出町を面白がる会」から生まれた「ピンクカレー」も面白い企画でした。もともと、日ノ出町は「赤線地帯」つまりピンク街として残っていた地域。その日ノ出町に「ピンク」を復活させようというアイデアが出ました。そのグループの1人が健全な明るい「ピンク」をみんなで考えた結果、日ノ出町の「ピンクカレー」が生まれました。

――これから面白がる会はどのように発展するのでしょうか?

現在は月に3回のペースで面白がる会を開催しています。町田を始めとして、自治体からの依頼もありますし、「公園の未来を面白がる会」も企画しています。まだまだできるテーマはいっぱいありますよね。アイデア出しって筋トレみたいなところもあるので、面白がる会を経験したオモシロガリストがいろんな場で活躍してくれるようになったらいいと思います。

――新しいの企画を立てるうえで唐品さんが心がけていることはなんでしょうか?

課題の顕在化、を大事にしています。課題を意識するって意外と難しいんですよね。人間は順応する生き物なので課題も忘れて通り過ぎてしまうケースが多い。そして、その課題解決がどれくらいの人を救えるのか? を考えています。これはマーケットの大きさですね。せっかくやるならビジネスとしても成功させたいので、大事なポイントだと思っています。

身近な家族が、こどもが抱えている課題を解決したい

ご自身が解決したい課題は、の質問に対して、一瞬考えたの...

ご自身が解決したい課題は、の質問に対して、一瞬考えたのち想いを語る

――みんなが課題と感じていることを解決するのが、面白がる会の趣旨。いっぽう、唐品さんご自身が解決したい課題はなんでしょうか?

そうですね……ぼくは課題と思うと自分のなかで解決してしまうタイプなので、ぼく自身というよりは妻や家族が直面する、もしくは直面するであろう課題でしょうか。結局のところ、家族が抱えている課題が世の中の課題なのかな、と思いますね。

妻が課題と感じるのは、必然的に子どもにまつわることが多いです。
ごくごく身近な話題ですと、「子どもの通っている小学校のPTAの役員決め」なんかも切実な課題ですよね(笑)。こういった身近な課題も気軽にアイデア出しできるプラットフォームに、面白がる会がなれればいいと思っています。
そして、炎上するかもしれませんが、たとえば「選挙」など、身の回りにある本当に大切だけれど、議論されていないものをあえて面白がって取り組むのが必要かな、と思っていますね。

――アイデアが出るブレストの秘訣、そして唐品さんが企画を立てる上で大事にしていることまで、みんデザ読者が「共創」するのに役立つことばかりです。唐品さん、長い時間ありがとうございました!
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