2019/09/01  カテゴリ 

きいてみた!

UXリサーチャー・樽本徹也さん(前編) 「ユーザーの体験をリサーチする」

デザイン思考にかかわるお仕事を紹介するコーナー。第2回目はUXリサーチの第一人者・樽本徹也先生です。

「UX」って結局のところ何なの?

「UX」という言葉、最近よく見かけますよね。「ユーエックス」と読みますが、なんの略かご存知ですか? 答えは「User Experience」。つまりユーザーの体験。体験っていうと、「これからはモノよりコト」とかよく聞きますし、そういう類のものでしょうか。でも、具体的にどんなことで、何してるの? って、みなさん知ってます?

WEB関係のお仕事っぽいイメージはあるのですが、UXデザイナーとWEBデザイナーの区別もよく知らないし……。

そんな「UX」という言葉、タイムラインで見かけても心がザワつかない程度にはわかりたい! ということで、UXの要とも言える(らしい)UXリサーチャーというお仕事について、取材してきました!

実は私たちのテーマでもあるデザイン思考ともかなり近しいものだったのです!

UXリサーチの日本の第一人者、樽本徹也先生に突撃!

お話を伺ったのは、UX関連の書籍も多数出されている樽本徹也先生。
UXリサーチャーの第一人者・樽本徹也先生

UXリサーチャーの第一人者・樽本徹也先生

【樽本徹也先生プロフィール】
日本では数少ないユーザビリティ工学の専門家で、ユーザ調査とユーザビリティ評価の実務に精通している。現在はプロのコンサルタントとして、ウェブサイトから携帯電話まで幅広い製品のユーザーインターフェイス開発プロジェクトに携わっている。 ユーザビリティに関する寄稿や講演も多い。法政大学大学院ITプロフェッショナルコース修了(工学修士)。

UXリサーチとマーケティングリサーチの違いとは?

(みんデザ編集部、以下「みんデザ」):さっそくですが、UXリサーチとは何をリサーチするものなのですか?

(樽本徹也先生、以下「樽本」):簡単に言うと、ユーザーの「体験」をリサーチして製品やサービスを作ったり改善するのに役立てます。リサーチの結果をもとに製品やサービスをデザインするのがUXデザイン。この一連の流れは人間中心設計と呼ばれています。

みんデザ:リサーチというとマーケティングリサーチを思い出すのですが、何が違うのでしょうか?

樽本:簡単に言うと、マーケティングリサーチは製品を「売る」ための調査。UXリサーチは製品を「作る」ための調査ですね。
UXリサーチの仕事は、簡単に言うと(ユーザ)調査と(ユーザビリティ)評価に分かれます。
新しい製品やサービスを作るときは調査、既存の製品やサービスを改良するときは評価が主に使われます。

みんデザ:つまり、調査→デザイン・開発→評価→改良……を繰り返していくということですね。
UXリサーチの流れ。UXリサーチャーは調査と評価を担当します

UXリサーチの流れ。UXリサーチャーは調査と評価を担当します

樽本先生のUXリサーチャー養成講座・評価編

ここからは、先日開催された樽本先生による「UXリサーチャー養成講座」のレポートも交えてお伝えしていきます。
2日間に渡って開催された講座は、UXリサーチの一連の流れを網羅した贅沢なものでした。
2日間のUXリサーチャー養成講座のはじまりはじまりー!

2日間のUXリサーチャー養成講座のはじまりはじまりー!

初日は「評価」のお話。なぜ調査→デザイン・開発→評価の流れなのに、評価からやるの?というのはあとで種明かしするとして、まずはUXリサーチのお仕事を覗いてみましょう!

「評価」というと学校の成績表なんかを思い浮かべますが、評価の種類には2×2の4種類あるとのこと。それは「総括的評価/形成的評価」と「分析的評価/実験的評価」。

●総括的評価
測定を目的としていて、平均点を出して統計処理し、数値化する。普通の学力テストやTOEICなどがこれにあたる。
●形成的評価
改善を目的とした評価。例えば英会話学校の教室内で先生から行われる指導のこと。

この2種類では形成的評価のほうが重要だそう。学力向上のためには、形成的評価を繰り返す必要がある。
デザインも同じくで、形成的評価を繰り返して向上していきます。

●分析的評価
知識、経験に基づいた評価で、「目利き」と言われる人が主観的にする評価。評価者は知識・経験を持っている必要がある。
●実験的評価
データに基づいた評価。UXリサーチにおけるユーザテストがこれにあたる。

この4種類をマトリクスにするとこんな表になります。
評価のマトリクス。4つに分かれます

評価のマトリクス。4つに分かれます

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