2019/09/01  カテゴリ 

きいてみた!

UXリサーチャー・樽本徹也さん(前編) 「ユーザーの体験をリサーチする」

デザイン思考にかかわるお仕事を紹介するコーナー。第2回目はUXリサーチの第一人者・樽本徹也先生です。

ユーザテストをやってみよう!

今回は最も重要といわれる形成的実験的評価(表の右下)であるユーザテストをやってみます!

【ユーザテストの概要】
ユーザテストとは、「ユーザに作業課題(タスク)を与えて過程を観察する」だけ!
ポイントは
・思考発話法…ユーザに今考えてることを口に出しながらやってもらう
・5人テストすれば充分
・「効果」「効率」「満足度」を観察する
この3点がクリアできれば、その製品のUXは問題ないそう。

実行手順は以下の通り。
リクルート(被験者を集める)

テスト設計(どんなテストにするか設計する)

実査(テストする)

分析

この日はこの手順をひとつずつ体験していきました。
まずはリクルート! 被験者を集めるチラシを作ってみよう!
みなさん真剣です!

みなさん真剣です!

一番に訴えるポイントや、詳細の書き方など細かなレクチャーを受けました。

次はテスト設計! これはユーザにやってもらう「タスク」を作ること。きちんとUXが機能しているかを評価するために、とても重要なプロセスです。
【例】
・録画しておいたTVドラマを視聴する<DVDレコーダー>
・終電の時間を調べる<乗換案内アプリ>
・会議資料のコピーを10部作成する<デジタル複合機>

読んでみると簡単そうですが、実際に作るのはなかなか難しいものでした。タスクを作る上でのポイントは以下の4つ。
①主要なタスクに絞り込む
②ユーザの視点で発想する
③スタートとゴールを定義する
④シナリオ化する

今回はグループに分かれて、銀行ATMのUXを評価するためのタスクを作ってみましたよ!
まずは銀行ATMでやることをそれぞれで書き出してみます。
みなさんが書き出したのは、
・現金を引き出す
・預金をする
・振込をする
・通帳記入をする
・残高を確認する
・両替をする
このあたりでした。

ほぼ全員が挙げていた、「現金を引き出す」のシナリオを作ってみましょう!
タスクのためのシナリオは、「シナリオ」と「ユースケース」に分かれます。

テストのためのシナリオを作ってみる!

銀行ATMで現金を引き出してもらうために、各グループどんなシナリオを作ったのでしょうか?

私たちのチームでは、
<シナリオ>
今日は飲み会です。でも財布の中に現金が少ししかない!
<ユースケース>
ATMで割り勘用に1000円札を多めに含んだ現金をおろしてください

というシナリオにしました!
シナリオとユースケースを書き出していきます!

シナリオとユースケースを書き出していきます!

この日はほかにも、実在するアプリのUXを評価するためのシナリオづくりもやってみましたよ。
できたタスクは、実際に他の参加者に実行してもらいました。ちゃんとゴールまでたどり着けるかな?

タスクを実行してもらい、分析・修正! そして評価を繰り返す

タスクを実行してもらい、それを観察する段階を「実査」といいます。
実査では観察者はとにかく「地蔵になれ!」とのこと。
ユーザがタスクを実行するのを観察していきます!

ユーザがタスクを実行するのを観察していきます!

被験者がなるべく自然な状態でタスクを実行できるように工夫しましょう。

全ての被験者のタスクが終わったら、次は「分析」。
先ほど教えてもらった「効果」「効率」「満足度」の3つに分けて、どうだったかを分析していきます。
・効果…独力でタスクを完了できたか。できなかったら効果問題がある。これは一番大きな問題。
・効率…遠回りせずにゴールに到達できたか
・満足度…ゴールまでのあいだに不安、不満はなかったか

製品・サービスの修正は優先順位をつけて行います。
この分析によって「効果問題」と「人数が多い問題」ほど優先して修正するべき箇所。
表にするととてもわかりやすいです。
修正したものは、また最初から「評価」のプロセスを繰り返します。
こうして繰り返すことで、どんどん自分たちの製品・サービスが良くなっていくんですね。
やみくもに修正するより的確でスピーディー! これがUXリサーチャーの仕事なのですね。
感銘を受けたところで、初日の講座は終了。次回は2日目のレポートです。お楽しみに!
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