2020/07/25  カテゴリ 

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アフターコロナの広告のあり方を考えよう!第2回〜ユーザーインサイトを知る〜|イベントレポート

今回は、みんデザが主催となり、「アフターコロナの広告のあり方を考えよう!第1回」に引き続き、第2回目「Withコロナの実態からユーザーインサイトを知る」というテーマでワークショップを開催しました。

こんにちは!みんデザ編集部です。

今回は、みんデザが主催となり、「アフターコロナの広告のあり方を考えよう!第1回」に引き続き、第2回目「Withコロナの実態からユーザーインサイトを知る」というテーマでワークショップを開催しました。
1回目はこちら
第1回目は顧客インサイトに注目しましたが、第2回目では、前回の課題である「共感マップ」をもとに、「問題定義」「アイデア創造」のプロセスを参加者とともに実践していきます!

前回に引き続き、みんデザメンバースタッフのキーノートトークからスタート。参加者はユーザーインサイトを知るヒント「ライブ性」についてインプットしました。

オンラインからオフラインへ、原点回帰

ライブという概念を紐解くまえに。今わたしたちが日常的に使っているインターネットの普及の歴史について軽くおさらいします。
みんデザスタッフによるキーノート トークから始まりました。

みんデザスタッフによるキーノート トークから始まりました。

日本でインターネットが普及し出したのは、『Microsoft Windows 95』が発売された1995年11月ごろといわれています。その後、2001年にはNTTやソフトバンクがADSL事業を開始、2003年に一般家庭向け光回線が開始したことで、インターネット人口が急激に増加、2004年時点で日本における利用者数は6,000万人を突破しました。

2014年の総務省の調査では、インターネットの国内利用者数は1億人程度、13歳〜29歳では95%という結果が出ています。このころから、『Amazon Music』や『note』など、いわゆる「オンラインコンテンツ」が一般的になり始めました。

オンラインコンテンツの大きな特徴は、利用料が無料で、広告料で収益をまかなうマネタイズ方式です。現状は「サブスクリプション」と呼ばれるモデルも伸びていますが、作品への課金意識が低いとされています。このような事態から、エンタメ業界では「作品を売る」から「ライブエンタメ」に原点回帰してきました。この傾向は特に音楽業界で強く、今では楽曲やCDを売るためにライブをするのではなく、楽曲やCDがライブを宣伝するツールになっています。

ニコニコ超会議もその一つの例です。もともと、新機能発表とプレス会見である『ニコニコ大会議』が起点となっており、やがてニコニコユーザー全てに向けた総合イベント『ニコニコ超会議』に発展しました。『ニコニコ超会議2020』は、外出自粛の影響で一旦中止になったものの、一部公演や企画をオンラインに切り替えた上で、開催されました。もともとオンラインコンテンツだったのものがオフラインへと逆流し、コロナウィルスの影響で再びオンラインに戻るというめずらしい現象が起こりました。

人は「ライブ性」にお金を使う

ここで、ライブ性への理解をより深めるために、『複製技術時代の芸術』という本の著者、ヴァルター・ベンヤミン氏の有名な言葉を引用します。

「印刷技術ができて、どんどんコピーが世の中に登場する。その結果、”アウラの消失”が起こる」

アウラとは、オリジナルに宿る神秘的な力、唯一無二のオリジナルが持っている力を指します。これがなくなるという議論を、1936年の時点で展開していたとすると、とてもすごい話ですよね。

この議論をさらにすすめたのが、『シミュラークルとシミュレーション』を執筆したジャン・ボードリヤール氏の「オリジナルなきコピー」という概念です。この概念は、フィクションの現実化が繰り返された結果、現実を超えた現実ができ上がる(ハイパーリアル)になるという考え方です。

なんだか、話が難しくなってきましたね。ここで、みなさんにも馴染みのある例を挙げます。

それが「ディズニー」です。

ディズニーは自動車や電車など、現実世界に存在するものは一切排除され、そこにはおとぎ話の世界が広がっています。これは模倣先のない完全な作りものの世界ですが、リアルと同様に、現在に至るまで世界中で人気を博しています。

これがまさにオリジナルなきコピー、リアルの超越(ハイパーリアル)です。

こうした議論が一般化していくにつれ、逆説的に「ライブ」であることが前景化していきます。

「ライブ性」とは?

このライブ性を分かりやすく分類しているのが、フィリップ・オースランダーの著書、『Liveness』。本書では、以下のように分類されています。
 (1408)

ライブ性を明快に説明してくれるのが、Perfumeです。Perfume本人たちも公言していますが、基本的にステージ上において演奏は行っておらず、プロデューサーである中田さんが作った音源に合わせて口パクでパフォーマンスを行っています。
また、ライブ中スクリーンに映し出されている映像も、実は録画されたビデオとしょっちゅう入れ替わっており、本人たちがそのビデオに合わせるという倒錯した状態になっています。上の表でもあるように、古典的なライブ性においては、演者と観客の身体的な共存、つまり身体性が重視されます。しかし、ここでは観客のみで、ライブレコーディングに近い状態になっており、ライブ性の拡張が起こっています。

どこまでがライブとして成立する?

ここからがいよいよ本題。4つの段階に分けて、これはライブなのかどうか?という問いを出しました。

第一段階・・・化粧をしているのはライブといえるか?
第二段階・・・能は?ライブといえる?
第三段階・・・人形浄瑠璃はライブ?
第四段階・・・ロボットが人形浄瑠璃をしていたらライブになる?

なんだか、とても奥の深い話になってきましたが、要は……

「ライブ性はコンテンツのあり方ではなく、受け手の状況に依存する
生の要素がなくても、受けてのコンテクストに寄ってはライブ性が確立する」

参加者のみなさんも、「なるほど」とうなづいていました。自身の体験とすり合わせながら

・プロレスは予定調和なのに、なんでライブ性を感じるんだろう?
・ブレア・ウィッチ・プロジェクトは、映画の中の世界だけどライブっぽい

などなど。各々が感じるライブ性について発表しました。
みなさんはライブ性について、どう考えましたか?

今後、オンラインでなにができるかという話はどの業界に関わらず出てくるテーマだと思います。

特にエンタメ業界では、会場(オフライン)でやっていたことをオンラインに置換するとなったとき、考えなければいけないのは、オンラインとリアルで担保しているものの違いです。

いかにオンラインでもオフラインと同じような感覚を作り上げることができるか、どこまでがライブとして成立するのかという問いは、必ず考えなければいけないポイントになってくるでしょう。

ここからは、実践的なワークショップに

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