2019/12/03  カテゴリ 

きいてみた!

「無印良品流デザイン思考」の秘訣を探る〜ユーザー中心のものづくりを取材してきた!(前編)

デザイン思考を活用して、ものづくりをしている企業を訪問する企画。記念すべき第一回はみなさんご存知の「無印良品」の商品開発に迫ります。

「毎週月曜日にチェックしています」

「毎週月曜日にチェックしています」

編集部:現場の声も吸い上げ対応する仕組みが、日常的に機能しているのですね。 「IDEA PARK」に届いたリクエストはどうされるのでしょうか?

永澤:「IDEA PARK」に届いた商品に関するリクエストは、見直し中か、すでに販売していないか、などを確認の上、検討してもらう必要があるものは開発の各担当部門に振り分けます。開発の各担当者は、店舗から届いた声と同様に回答を書き込みます。随時「見直し中」「販売中」「できました」等のステータス変更とともに、WEB上でお客様に検討結果のフィードバックも行います。

編集部:ユーザーからの声を吸い上げるだけでなく、フィードバックまでしっかり対応しているんですね!

永澤:店舗への対応も「IDEA PARK」の取り組みも、90年代から今に至るまで形は進化しながらも、基本的には、「お客様の声を聞いてものづくりをしていく」という土壌がある中で、自然と取り組んできているという感覚です。

編集部:まるで、毎日お客様にインタビューしたり、商品のテストをしたりしているようなものですね。「お客様の声を反映させた商品づくり」が、脈々と受け継がれていると感じました。

「こどもプロジェクト」スタート! まずは仮説を立て、検証するためのアンケートを作成

編集部:おむつポーチと母子手帳ケースを、「IDEA PARK」の「こどもプロジェクト」企画でお客様と一緒に商品開発することにしたきっかけは、何だったのでしょうか?

松木:母子手帳ケースは、過去に販売実績があったのですが、販売を取りやめていた時期があり、その間、「IDEA PARK」や店頭に「再販してほしい」という声が定期的に届いていました。

お子様とのお出かけアイテム、をテーマに商品開発をすることになったとき、「やはり、再販を望むお声が多い母子手帳ケースを、もう一度ちゃんとつくってみよう」と。そして、ご要望は多いですが、利用対象者は限られるので「お客様のお声をしっかりと反映してリニューアルをしたい」とプロジェクトを提案しました。
「お客様の声を、きちんと商品開発に生かしていきたい」と...

「お客様の声を、きちんと商品開発に生かしていきたい」と語る松木さん

編集部:開発にあたり、まず「IDEA PARK」の会員にアンケートをお願いしたと聞いています。アンケートの設問はどのように決められたのでしょうか?

国広:もともとチームで、どんな製品を作りたいかの意図をしっかり持っていました。まず、自分たちの気づきをもとに仮説を立てました。チームにいる子育て中の人、昔はこうだったという経験者、そして男性デザイナーからも聞くなど、多様なメンバーの意見をもとにしています。

仮説を検証するにはどういう質問がいいか、精査してアンケートの選択肢を決めました。フリーコメントだけでは検証ができないので、検証をしやすいアンケート選択肢を作るのに相当時間をかけました。

編集部:具体的にはどういった仮説を立てたのでしょうか?

松木:母子手帳はお母様とお子様のものというイメージがあります。でも、実際の利用シーンでは、男性が持ち運ぶこともありますし、祖父母の場合もあります。しかし、よくある母子手帳ケースは可愛らしい柄が多く、男性が持つにはためらわれるデザインです。おむつポーチであれば、抱っこをしながら持ち運んだり、ポーチを開けたりする事も多く、また子育て中は何かと荷物も多くなりがちです。

ですので、男女や年齢を問わず持ち運びができ、「軽くて」「コンパクト」そして「子どもを抱っこしながらでも使いやすい」仕様にしたいと思っていました。

また、お客様から届いていたご意見、たとえば「複数の子どもの分をまとめて入れられたら」などをピックアップしました。ただ、それはごく少数の方の声だったので、多くのお客様の意見を頂戴したい、と設問項目に追加しました。
商品開発の過程を話してくださる皆さん。想いが伝わります

商品開発の過程を話してくださる皆さん。想いが伝わります

編集部:デザイン思考のプロジェクトでは、ユーザが求めるモノの仮説を立て、その仮説を検証するために利用者にインタビューをします。無印良品さまも仮説検証を、しっかりと計画されていると感じました。

ー注目のアンケート結果とおむつポーチと母子手帳ケースの完成品はいかに? 後編では、この後の開発ストーリーと完成品を大公開! そして、無印良品のものづくりの秘訣に迫ります。
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