2020/05/02  カテゴリ 

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「お〜いお茶」ブランドデザインを手掛けた菊池公一郎氏が考える「デザイン思考」とは?「デザイン基礎講座」イベントレポート

伊藤園・資生堂などのブランドデザインを手掛けた菊池公一郎氏によるセミナー。「デザイン思考」をこのコロナの時代にどう活かしていくか。デザイン思考が示す新しい可能性をレポートします。

こんにちは! みんデザ編集部です。

板橋区立企業活性化センターで開催された「デザイン基礎講座オンライン〜お〜いお茶のパッケージデザインはどのようにして生まれたのか?〜」に参加してきました。
(講座の詳細はこちら 板橋区立企業活性化センター https://bit.ly/35cMHDM

コロナウィルスにより、世界的な危機を迎えている中で、今回の講座で学ぶ「デザイン思考」をどうこの有事に活かしていけるか、そんな内容が中心となりました。
シアンクリエイティブ パートナーズ 代表・菊池公一郎氏

シアンクリエイティブ パートナーズ 代表・菊池公一郎氏

菊池 公一郎(きくち・こういちろう)氏
シアンクリエイティブ パートナーズ 代表
クリエイティブ ディレクター 1968年生まれ。明治学院大学英文科から米国へ留学。サンフラン シスコ・アート・インスティテュートに奨学生として留学。サンノゼ州立大学、カリフォルニア州立大学フルトン校卒業。ランドーアソシエイツ(東京)にてデザイン業務を担当、仏デグリップ ゴーベ社東京事務所にてクリエイティブディレクターを務めた後、 2004年独立。
主に伊藤園、資生堂等大手メーカーのブランドデザインを手掛けながら、中小企業、ベンチャー企業のデザインプランニングなど、クリエイティブ支援に力を入れている。
駒林健一(こまばやし・けんいち)さんの軽妙なファシリテーションから、講座は始まりました。「Zoom」を使ったオンライン講座で、朝10時からの開催にも関わらず、総勢100名超の参加者がいらっしゃいました。

チャットで適宜、質問や感想を送ることができるほか、リアルタイムで「拍手」「いいね」といったリアクションをつけられるなど、オフラインイベントにはない面白さ、緊張感が味わえました。

デザイナー(専門家)に任せてはいけない

ここからは、菊池さんが過去にデザインした制作事例をもとに、デザインするまでのプロセスについてお話しいただきました。

はじめに「デザイナー(専門家)に任せてはいけない。」と菊池さん。デザインはプロに任せたほうが良いものになるはず。どういうことでしょうか?

専門家がいると、現場の人の課題解決の意欲が下がり、依存傾向が強くなってしまうため、専門家に全て委ねてはいけないという意味でした。確かに、コロナ禍の今の状況も同じかもしれません。専門家が各メディアで発言をすることで、視聴者は「専門家の言うことを信じていれば大丈夫」という状態になり、思考停止に陥る。でも、本当はとても危険なことです。自分の胸に手を当て、考えさせられる瞬間でした。
大事なのは現場でかきかき

大事なのは現場でかきかき

いよいよ、話は思考プロセスに移ります。ここでクイズが。Kinko'sでおなじみの「FedEX」のロゴ、ここにはなにかメッセージが隠されているようです。分かりますか?
FedExのロゴに何が隠されている?

FedExのロゴに何が隠されている?

実は、EとXの間には矢印が隠れています。デザインでは、隠れたメッセージに、会社の思いや事業内容を埋め込むのは恒例だそうです。やがて、このメッセージが会社としての軸や根っことなります。

このようなロゴを制作するときは、「デザイン・具現化する行為」と、「デザイン的な考え方に落とし込む(デザイン思考)行為」の2つの工程を行ったり来たりします。

企業の場合、専属のストラジテストが先に戦略を作ってしまうことも多く、そうするとクリエイティブさが損なわれるそうです。今の時代は、「とりあえず手を動かしてプロトタイプ化していくことが大事です」と菊池さんは語ります。

「Yes I Can」と言えるか?

実は、日本はデザイン思考が実践しにくい環境だそうです。なぜなら、「Yes I Can」のマインドが育まれにくい文化だから。

例えば、休日の勉強会や講座に出席するだけでも、家族の反対を押し切って参加している人が多いと思います。「出る杭は打たれる」ではないですが、和を尊重するのが日本だからです。

一方、アメリカは開拓者たちが新しい理想を形にするための“実験場”として成立した歴史もあり、建国が思想の上に成り立ってます。

ごぞんじの通り、デザイン思考は「まずビルドする(やってみる)」が基本。菊池さんは、デザイン思考についてこう考えます。

「わたしたちはデザイン思考に関して、ビルドの思考とよくいっています。精査する前にまずビルドする。そういう風に使えるよねとか、こんな風にしたらどうかとか、私はこう思うという積み上げを恐れずにまずやってみて、そこから削っていきます。途中、カオスの状態になりますが、そこを止めてしまうと、あんまり面白くならないんじゃないかと思っています。」

「この有事こそ、デザイン思考で尖るとき」と菊池さんが述べるように、ビルドすることを恐れない姿勢がデザイン思考には欠かせません。

楽しみ、熱狂し、周りの人を巻き込む

菊池さんがデザインを考えるときは、3つのP(パーソナリゼーション・ぺリフィケーション・プレゼンテーション)を意識しているそうです。
デザインを考える「3つのP」

デザインを考える「3つのP」

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