2020/07/02  カテゴリ 

やってみた!

銀座の地酒立ち飲みバーをデザイン思考でプロデュース!VOL.3 〜「新しいクニザケ屋が見えてきた!」プロトタイプ編

デザイン思考を活用して、地酒立ち飲みバー「クニザケ屋」店舗リニューアルを考えるプロジェクト。いよいよ、移転先のテナントが決定! 実物大のプロトタイプで検証して、UX(ユーザー体験)をデザインしました。

新店舗決定! オープン前ラストワークショップスタート!

「お店が決まったよ!」の知らせを受けたのは、第二回ワークショップから半年が経過した頃でした。決まってよかった。おめでとうございます!

店舗デザインの素案もできたとのこと。
でも、図面だけだとなかなかイメージがつきませんよね。

そこで、またも常連さんと一見さんに集まってもらい、実物大のプロトタイプを作ってみることに。

みんなのニーズはどう反映されてるだろう? 擬似体験をしながら、UX(ユーザー体験)もデザインしてみました!

新店舗はどんなところ? デザインのポイントを教えて!

お眼がねにかなった物件は、築地二丁目にありました。
小学校の南側に位置する9階建てビルの6階だそう。どんなお店になるんでしょう?

まずは店舗決定の経緯やこだわりポイントなどを、店主ツッチーさんと、店舗設計を担当する徳野由美子建築設計事務所主宰の徳野さんに、伺っていきます。
左:店主のツッチーさん、右:建築士の徳野さん(こんな写...

左:店主のツッチーさん、右:建築士の徳野さん(こんな写真しかなくてごめんなさい。でもとにかく、嬉しそう&楽しそう!)

ーー新しい店舗の決め手を教えてください!

ツッチーさん:場所は築地二丁目です。できれば、もともと店舗のあった木挽町エリアで…と3.4ヶ月探しましたがなかなか難しく、エリアを少し広げて探そう、と話していたときに出てきたのがこの物件です。

常連さんも増えてきて、路面でなくても来ていただけますし、前のお店は4坪でしたが今回は10坪あり、しかも、昼も夜も景色がいい! 「ここなら居心地の良い立ち飲みサロン的なお店ができる」と決めました。
新店舗への思いを語るツッチーさん

新店舗への思いを語るツッチーさん

徳野さん:実はここは、数ヶ月前に目をつけていた物件でした。6階ということでその時はご紹介しなかったんですが、異国情緒のあるビルで、本願寺もすぐ近くにあり、場所柄もおもしろいんです。小学校の前で雰囲気も明るく、夜のお店だけど明るさも感じられます。クニザケ屋さんのコンセプトにぴったりだと思います。(徳野さんは、物件選びからお世話をしてくれたそうです。なんて素敵な建築士さんなんでしょう)
入り口上部には、フェニックスのステンドグラスが。なんと...

入り口上部には、フェニックスのステンドグラスが。なんとも味のある建物です

ーー新しいクニザケ屋のこだわりポイントは?

ツッチー:前の店は狭くて、それが弱みでした。混んでしまうと、東京の人たちは「プライベートまで満員」になってしまいます。新しい店舗は20名以上入れるし、酒蔵さんのイベントも楽しんいただけると思います。
徳野さんも一緒に大坂まで店舗視察に行っていただき、私がこだわりたいポイントなどを体感してから、設計をしていただきました。

徳野:30年ほどのビルなので、古さを許容しながらできるしつらえを考えています。元々の素材を活かしたリノベーションです。内装は、店主ツッチーさん好みのグレーを基調にします。主役となるカウンターを工夫することで、ツッチーさんが一番大切にされたい「店主とお客様、お客様同士のほどよい距離感」をデザインできたらと考えています。
徳野さんが持ってきてくれたプロトタイプの模型

徳野さんが持ってきてくれたプロトタイプの模型

皆さん、覗き込みながら話を聞きます

皆さん、覗き込みながら話を聞きます

手前は、以前のクニザケ屋の雰囲気を感じられるように。奥は、ギャラリーや酒蔵イベントなど、新しい要素を盛り込むイメージだそう。
模型って、なんだかわくわくしますね

模型って、なんだかわくわくしますね

これまでのワークショップでみんなから上がっていた、

・オープンエアー席があったらいいな!
・お客さん同士が接したり、どこからでも店主が見える空間に!
・お尻をもたれかけられるのは必須!
・できるだけ死角がないように
・看板には今日のオススメをいっぱい書いて欲しい!

などの、「取り入れて欲しいポイント」もちゃんと入っています。

そして、エレベーターホールには、クニザケ屋の象徴でもある、丸いサイン(看板)の設置を計画しているのだそう。

「常連さんが6階のホールに入ったときに、あたかも(旧店舗があった)銀座一丁目街角であるかのようなイメージを持ってもらえたら…」そんな思いを語る徳野さん。

みんなが愛したクニザケ屋の雰囲気を継承しつつ、新しい要素を融合していく。そんな思いがあふれる、とても素敵な設計提案でした。

実物大のプロトタイプをつくってみよう!

さて、いよいよワークショップです。
デザイン思考といえば? そう、「プロトタイプ」ですよね!

その辺の紙とかでもよいので、「とにかくプロトタイプをつくってみること」「やってみること」が大切です。

頭の中にある理論的なアイデアを、実際に形にしてテストしてみることで、改善ポイントを明確にし、より深いインサイトで価値あるユーザー体験を明らかにすることができます。

ということで、今回は「実物大」のカウンターをつくってみることに!
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段ボールをジャバラにつないで、あーでもない、こーでもない、と言いながらつくっていきますよ(みんなで作るって、無条件に楽しい!)
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完成したら…擬似店舗オープン!
さっそく、ツッチーさんが持ってきてくれたお酒を楽しみましょう。
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常連のEさん差し入れも入れて、5種類のお酒が揃いました。ワクワク!
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選りすぐりのお酒を、丁寧に説明する店主ツッチーさん。

「何から飲みますか?」
「僕は詳しくないので、わかりやすいものを・・」
「私はきれがあるフルーティなのがいいです」
「僕は●●を…」

店主の説明を聞きながら、皆さん、好みのお酒を選んでいきます。
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不思議。段ボールだけど、本当のお店みたい。

「●●さんは、横山ですか。奥様も飲むんですか?」
なんて会話も自然に生まれて、なんだかとてもいい雰囲気。

気付けば、常連さんも一見さんも分け隔てなく、自然に打ち解けていて。これが「クニザケ屋」、そしてツッチーさんの魅力なんだな〜と、改めて実感です。 
お酒を味わいながら、語り合う店主とお客さん

お酒を味わいながら、語り合う店主とお客さん

おいしいお酒を堪能しながら、奥行きや距離感、会話のしやすさなど、ちょとした気づきを出し合ってもらいます。
模型を使いながら、ディテールを説明する徳野さん

模型を使いながら、ディテールを説明する徳野さん

たくさん意見がでて、ますます魅力的なお店になりそうな予感!
徳野さんも、新たな気づきや発見がたくさんあったそうです。やっぱり、身体性、実際に体感してみるって、とても大事ですね!

UX(ユーザー体験)をデザインしてみよう!

さて、次はUX(ユーザー体験)をデザインしていきます。
事前に出たアイデアのユーザーテストです。何をユーザーテストするかというと…今回はこちら。その名も「クニザケ帳」!

(4コマ漫画でお楽しみください)

①飲んでうまい
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②書いてうまい
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③読んでうまい
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④クニザケ帳
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「日本酒に詳しくないけれど、クニザケ屋にきたらだんだんと詳しくなる」→「来るのがどんどん楽しくなる」→「そのうちサードプレイスになる!」
そんなユーザー体験をデザインしよう! というアイデアです。

日本酒って、何を飲んだのかすぐに忘れちゃって、いつまでも詳しくならないってこと、ありませんか?

メモしておければ忘れずに詳しくなれるし、他のお客さんのメモを見て注文するのも楽しそうですよね。常連さんと一見さんの、ちょとした交流にも一役買いそうです。

でも実際のお客さんは、どう感じるでしょうか? 
意図するユーザー体験が実際に生まれるかどうか、プロトタイプを使ってテストします。
簡単なプロトタイプ作ってきたので、皆さんご意見お願いしますー

簡単なプロトタイプ作ってきたので、皆さんご意見お願いしますー

そして出てきた意見がこちら↓

・簡単な用語集/入門編みたいなのがついていると良さそう
・味の表現が難しい。チェックボックスを付けるくらいでいいのでは?
・ラベル配ったり貼ったりするのが大変だからスマホ撮影は?
・毎回何を飲んだかを知れるのはいい。覚えていられないから
・何杯も飲んだらどうしよう。最後の一杯しか書かないかも
・ひとり一冊でなくてもいいのかも。記念帳みたいな
・体調と味が連動するから、毎回感じ方が違う
・クニザケ帳を毎回探すの大変そうだな
・みんなの声は書くかなぁ
・47都道府県スタンプラリーとかあると良さそう
・その場合、積み上げよりひとつひとつ潰していく方がモチベ上がるね

……すごい数の意見!

「プロトタイプには何千回のミーティング以上の価値がある」
と誰かが言っていましたが、本当にその通りですね。皆さん、ほろ酔いながらありがとうございました!
大好きなお店のことだから、皆さん楽しく真剣なのです

大好きなお店のことだから、皆さん楽しく真剣なのです

最後に、皆さんにコースターに寄せ書きをしてもらいます。
「なんて書こうかな」(素敵な笑顔です)

「なんて書こうかな」(素敵な笑顔です)

それを人数分にカット!
大胆に、チョキチョキされたコースター

大胆に、チョキチョキされたコースター

さて、これはなんでしょう…?
そう、「次はお店で会いましょう!」の約束です。破片を一枚づつ持って帰っていただきました。

新店舗でまた逢う日を楽しみに♪みんなでまたこのコースターパズルを組み立てましょう!

最後に、ワークショップデザイナーの竹丸さんより総評をいただいて、今回のワークショップは終了! 皆さん、お疲れ様でした!
<竹丸さん総評>
プロトタイプで検証できたことの成果はとても大きいです。今回プロセスデザインとしてこだわったのは、「空間と人の動きをプロトタイプする」ことです。プロトタイプで確かめたかった一番のポイントだったので、どんな手を使っても(笑)カウンターを視える化したかったのです。カウンターをどうやったら簡単に再現できるのか?みんデザスタッフと徳野さんとアイディアを出し合ってダンボールクネクネカウンターを作り出しました。やはりそこはこだわってよかったです。今後の店舗オペレーションにも、店舗の雰囲気づくりにも大きく影響してくるだけに、一度体感としてシミュレーションできたことは、ツッチーさんにも徳野さんにも得るものが大きかったようです。やはりプロトタイプ大事ですね。今までのワークショップがだんだん紐づいているのが見えてきました。初回からワークショップに参加してくださっているみなさんがいてこその、このプロトタイプの時間でした。いろいろなことがつながって、検証できたことに感謝です。
新店舗づくりもいよいよ大詰め! 今回のプロトタイプ検証をベースに、アイデアとコストを精査しながら最終設計を詰めていきます。いったい、どんなお店になるのでしょう。お楽しみに!
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