2020/03/13  カテゴリ 

よんでみた!

書評『スタンフォード式 人生デザイン講座』デザイン思考で人生プランを考える

デザイン思考を人生設計に役立ててみる!自分の問題をデザイン思考で抽出して、解決していきます。初心者の方にもわかりやすく書きました。

激変の時代で、答えがない。人生のプランを立てることが難しいと悩む人も多いと思います。本日紹介するのは「スタンフォード式人生デザイン講座」です。

この本は、今ビジネスシーンで注目されているフレームワーク「デザイン思考」をライフデザインに役立てるというもので、基本的なマインドセットから、実践的なワークまで盛りだくさんでした。どんな内容なのか、本書の一部を紹介しつつ、解説します。

デザイン思考とは?

デザイン思考とは、「ユーザーも気づいていない本質的なニーズを発見し、変革させるイノベーション思考」のことを指します。共感 (Empathise)、定義 (Define)、概念化 (Ideate)、試作 (Prototype) 、テスト (Test)の5つのプロセスを経て、問題解決に至ります。この順番にプロセスを経るわけではなく、行ったり来たり、あるいは繰り返されます。

「スタンフォード式人生デザイン講座」では、このデザイン思考を応用したライフデザイン法を提唱しています。実例に基づいており、非常に噛み砕いて説明がされているので、読みやすい内容となっています。

ライフデザインの第一歩は、自分の問題を知ること

本書では、ライフデザインの第一歩は、自分の問題把握から始まると定義されています。問題把握とは、具体的に「正確な問題の発見」と、「正確な問題解決の方法を知る」ことを指します。正確な問題の発見は簡単なようで難しいです。自分の問題の中でも、物理的に解決しようがない問題も存在します。それが「重力問題」です。重力問題とは、具体的には「空を歩く」「火星に住む」などが例として挙げられます。

ただ重力問題の中には、「ミュージシャンとして成功する」「CIAで働く」失敗する確率の高いチャレンジングな難問も潜んでいます。

自分が解決しようとしているものが、対処不可能な問題なのか、それとも大きな犠牲を伴うチャレンジングな問題なのかそれを見極めることが大切です。

問題を把握するためには、まず「健康」「仕事」「遊び」「愛」の4つの分野で考えることが重要であるとされています。確かに人生の1/3は仕事ですが、健康、仕事、遊び、愛の全ては関連しあっていて、どれが欠けても上手くいきません。例えば、健康が損なわれていれば、仕事も遊びも愛も達成は難しいですし、反対に仕事が損なわれていれば、お金の余裕がなく、遊ぶ余裕はなくなります。ちなみに、僕が書いた4つの分野は以下でした。
ライフデザインの第一歩は問題を把握する

ライフデザインの第一歩は問題を把握する

自分の中にあるコンパスとは何か?

コンパスとは、人生の指針のことで、それは大きく「人生観」と「仕事観」の2つに分けられます。「人生観」と「仕事観」に一貫性が持てると、人はモヤモヤすることなく充実した自分の人生を歩むことができますし、もし迷ったときにも指針があればそれを確認し、軌道修正できます。

仕事観とは「どういう仕事をしたいのか」ではなく、「なぜ仕事をしたいのか」を表すものです。表面的なスキルの習得ではなく、なぜ習得したいのか、仕事の先になにがあるのかを考えます。

人生観とは、人生の目的や善悪についてなど、仕事感よりも、さらに広い哲学的な問いに対する答えです。あいまいだと思っても、それは全て自分にとっての正解になります。

熱中できる瞬間を探る

熱中できる瞬間、ありますか?

熱中できる瞬間、ありますか?

本書では、ライフデザインを探る過程において「熱中する瞬間」を重要視しています。消耗をする時間を過ごすのと、エネルギーに満ち溢れた時間なら、間違いなく後者が有意義でしょう。

「仕事が楽しいと感じられるのは、あなたが自分の強みを発揮し、仕事に心から熱中し、エネルギーに満ちているときなのだ 」

と書かれている通り、熱中できることは、価値観と同じくらい進むべき道を探すのに貴重なヒントになりえます。仕事にはエネルギーを消耗する瞬間もあれば、エネルギーを高める瞬間もあります。その瞬間を見極め、共通点を探ることで、自分にとって適切なライフデザインを作るヒントを得ることができます。

本書では、自分の日々の気持ちや感情を分析する方法として、「グッドタイム日誌」を紹介しています。この日誌では、「あなたが熱中しているタイミングは?」「エネルギーに満ちあふれているタイミングは?」「そのときなにをしていたか?」といった項目を日々記録することで、いつ消耗し、情熱に燃えるかをつぶさに分析することができます。

最高の「正解」はいらない。正解は何通りもある

考えるよりプロトタイピング

考えるよりプロトタイピング

ついつい、最高のたった一つの正解を手に入れたくなりますが、正解は一つではありません。どの選択肢を選んでも、正解なのです。むしろ、一つの正解に固執すると、選択肢は狭まってしまいます。最初のアイデアを画期的で素晴らしいものと思い込んでしまい、なかなかそれを引っ込めることができません。

本書では、このような問題を「イカリ問題」と呼んでいます。僕自身も、小さいころからの「ミュージシャンで食べていきたい」という夢に固執し、日々苦悩していた時期がありました。「ミュージシャンに食べていける」可能性は、かなり低いです。「なぜミュージシャンになりたいのか?」を考えて、「人を楽しませる空間を作ることが好き」と気付くことで「1日店長のお店を開く」「ライブイベントを主催する」と、多様な選択肢を見つけることができました。まずは選択肢を拡張することが大切です。なぜ、「イカリ問題」に照準があってしまうのかといえば、

・ほかの方法をやってみて失敗したらどうしよう?
・行き詰まっていることを自覚したくない
・ここまで投資をしたのにもう引き返せない

という恐れによって、「イカリ問題」しか解決策がないと思い込んでしまうからです。これは損をすると取り返したくなるプロスペクト理論という人の心理効果によるもので、一つの解決策に固執するほど、深く「イカリ問題」に飲み込まれてしまいます。

では、このイカリ問題から逃れるにはどうしたらいいのでしょうか?それは、小さなプロトタイピングをさっさと実行してしまうことです。失敗をしたとしても、そこから学びを得られますし、大きな損失をすることなく、失敗への免疫もつき、イカリ問題に陥る確率を減らすことができます。

ライフデザインにおけるプロトタイピングとは、的確な疑問を掲げ、わたしたちの隠れた偏見や思いこみを排除し、すばやく実験をくり返し、わたしたちが試してみたいと思っている道へと進む勢いを生みだすことなのだ。

と書かれているように、あくまでプロトタイピングは加速装置、気付きを与えてくれるものに過ぎません。気負わずに気軽になるべく早いタイミングで実行することが大切です。

疑似体験で、未来に近づく

とはいえ、プロタタイピングをいざ実行するとなると、なかなかハードルは高いです。最も手軽な方法として「ライフデザイン・インタビュー」が紹介されています。これは、気になる人に取材をし、仕事について話を聞くという実にシンプルな方法です。この方法で、なんとなくヒントを手に入れたら、次はよりイメージを明確にするため、行動に移します。例えば、「日本茶スタンドを出店したい」というのであれば、

・知り合いの日本茶スタンドのお店で1日店長をさせてもらう
・いろいろなマルシェでポップアップでお店を出す
・貸しスペースを借りて、友達を集めた料理会をする

いくらでも、出店までに試せることはあります。

幸せになるのではなく、「幸せを選び取る」

解決方法の選び方は?

解決方法の選び方は?

ライフデザインでは、問題把握、問題解決の方法と同じくらい、「解決方法の選び方」も重要です。選び方をひとつ間違えるだけで、全て上手くいかなくなってしまいます。本書では、選択プロセスとして以下の3つを挙げています。

①いくつかの選択肢を集めて、生みだす

選択肢をまずは拡張します。拡張するには、問いをで工夫します。例えば、お金、時間、スキルといった制限を一旦とっぱらって考えたりして、メンタルブロックを外して考えると、今までにない視点でアイデアが湧き出てきます。

②選択肢を5つまで絞りこむ
いろいろな未来へのアイデアを出すと、とても楽しい気分になります。どれを選ぼうか、その過程が楽しかったりします。ただ、この楽しさが足を引っ張り、なかなか絞り込むことが難しくなります。

選択肢が多すぎるのは選択肢がまったくないも同然なのだ。無数の選択肢を前にして凍りついているなら、そもそも選択肢がないのと実質的に変わらない。

と書かれているように、選択肢は多すぎると選択できなくなります。つまり、それは無意味であるということ。

③選び、断ち切る。前に進む
選ぶ過程で最も難しいです。なぜなら、人は最善の決断をしたいと常に思うからです。ただ、最善の選択はそもそも非現実的な話です。なぜなら、10年後、50年後になってみないと、最善かどうかなんて分からないからです。つい目移りしてしまう検索結果の海に見える魅力的な選択肢は「隣の青い芝」であり、空想の選択肢に過ぎません。「優劣の差がないのであれば、全てベストなのだからどれを選んでも正解」と考えて、まずは一つの選択肢に向けて行動することに振り切ることが大切です。

現実と戦わない。直視し、自分の人生をデザインする

本書を読み、繰り返し強調されている「ライフデザインは現実と戦わない」という言葉が響きました。現実と戦うということは、「現実を受け入れず、そこに不平不満を吐き、過去の自分の選択に後悔し、あの時アレを選択すればよかったと嘆くこと」です。現実を直視すれば、次の人生につながるステップになります。

『プロトタイプを繰り返し、人生を作り続ける』。このスタンスさえ持っていれば、「失敗することも成功することもある」と、現実を直視でき、失敗を次の反省材料に、また未来の話のネタにすることにもできます。これは本当に最強のライフハックだなと個人的には思いました。

「うまくいっているはずなのにモヤモヤしている」「問題が行き詰まりすぎて身動きが取れなくなってしまった」そんな方にはぜひ読んでもらいたい一冊です!
この記事のキーワード:  

おすすめ本