2020/05/21  カテゴリ 

よんでみた!

「デザイン思考」は幸せに生きるためのライフスキル 。佐宗邦威『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』

右脳思考を実践すると、論理が通らない飛躍が多々発生します。全体図を見失い、スッキリしませんが、思考の飛躍をうむためには、混沌とした不明確な状態をも良し!とすることが必要です。

将来への解決策を創り出すスキルとは?

著者は、デザインスクールに留学して学んだことの中で、最もインパクトが大きかったことは「日々、自分なりにクリエイティビティを発揮して、たえずモノを創りながら生きる生き方って、幸せだなと」と思えたことだと言っています。

具体的には、企画やデザインやイノベーションの仕事において「役に立つ」ことだけではなく、課題を回しながら、今までに使っていなかった脳を刺激し、心地よいと感じるようになってきて、創り出すための方法を理解したことで、日々の生き方に対する大きな変化があったとのこと。

そのような感覚において、著者はIDの後輩である佐々木康裕氏のブログから以下のように引用しています。
“IDでの秋学期を通じ、想像以上に多くのものを手に入れている。瞬間瞬間に学び、全身の細胞で学びを吸収している感覚がある。”
(~中略~)
“なぜこんなにヒトへの愛着がこれまでになく高まっているかというと、それはIDの授業で、徹底して人間中心主義を叩き込まれたから。ヒトを観察し、インタビューし、彼らの奥の声に耳を傾け、いつ相好を崩し、いつ眉間に皺を寄ったかをじっと見る。”
(~中略~)
“今は、自分が携わっているソリューションの完成度の成否を数値で計りたいというモチベーションはほとんどない。その代わりに日々問うているのは、「自分のソリューションの使い手にどういう感情を抱いてほしいか」「頭にユーザとして思い描いている彼女はこのプロダクトを手にとって笑顔になってくれるだろうか」”
(~中略~)
“こんなことを考えていると、ヒトに対する興味や他人に対するエンパシーがとても強くなり、自分の周りにいるヒトがどういう感情を抱いているかのアンテナの強度がとても高まる。”
(~中略~)
“これはデザインがどうとかキャリアがどうとか外形的な話ではなく、これからのライフスタイルに影響を与えるような変化だな、とすら思う。”
デザイン思考の技術を学ぶことで、結果的に、自分なりの創造力を発揮して日々何かを生み出す生き方を学んだということ。

これは、最初の目的は「学び」であったが、「学び方」を学んだことで、物事や人生の捉え方そのものが変わったということでしょう。PCでいうと、なにか一部分を新しくアップデートした、というより、新しいOSをインストールし直して、根幹のシステムそのものから変わったというような感じでしょうか。

スピードが遅かったり、表現の仕方がアーティスティックではなかったとしても、毎日何かを生み出すという営みをしている最中は、生きている実感と充足感を持つことができます。

例えば、夕食を作る時、それも一種の創作だと考えたり、生活や環境に不満を感じた時は、愚痴を言う前に「本当の課題は何?」と、小さくても解決策をつくってみたり。生活の中で「デザイン思考」を頭の片隅に置いて、試行錯誤をしていく癖をつけること。

このようなスキルは、社会の変革期で将来に見通しが立たない中、解決策を創り出していかねばならない今の時代を生きる上でとても大事なことです。

これからコロナの影響は、生活面や行動だけではなく、政治や経済、教育や雇用、文化や芸術など、広範囲に渡り、これまで世界の前提となっていたものごとへの変容をもたらすことでしょう。

このような不安定な時代に、メディアやSNSによる大量の情報を浴びていると、先の見えない不安に取り憑かれます。そんな時、一旦情報を遮断して、自分の中のクリエティビティに出会ってみてはいかがでしょうか。

本書から、創造力の鍛え方についてのエッセンスを感じとり、独自の視点で問題を発見し、ユニークな切り口で解決する思考法を身につけるきっかけになればと思います。
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