2020/04/24  カテゴリ 

やってみた!

吉成雄一郎氏によるデザイン思考キャンプレポート【後編】

デザイン思考の総本山、スタンフォード大学d.schoolの社会人プログラムを修了した吉成雄一郎さんによるデザイン思考キャンプレポート後編です。

 (1125)

プロセスその⑤ テスト

 (1127)

最後に作ったプロトタイプをテストしよう。ユーザーからの意見を聞き、間違っていたら問題を定義し直したり、アイデアを出し直します。
これを繰り返してより良いものを作っていくのがデザイン思考!

なるべく早い段階でテストしよう!

 (1130)

これまでは一生懸命考えて凝ったものを作って、最後の最後にテストをするのが一般的でしたが、これだと遅すぎるそう。間違ってたときにやり直すコストがかかりすぎますもんね。できるだけ早い段階で、コストをかけずにテストしていきましょう。

デザイン思考で作られた事例

ここで、スタンフォード大学 d.schoolの卒業生が開発した子ども向けのMRI機器をご紹介します。
MRIってこういうの

MRIってこういうの

脳腫瘍などの病気があると、毎月MRIを受ける必要があります。これまでは子どもたちが機械の中で動いてしまわないように、拘束をしたり注射をしたりしていました。
子どもたち(ユーザー)にとっては最悪の体験ですよね。

そこで、MRIを作っているゼネラル・エレクトリック社は、子ども向けMRIを開発するために、まずユーザーを観察することから始めました。

その中で、ある子どもがこぼした
「お兄ちゃんはキャンプに行けるのに私はいけない」
「お兄ちゃんの部屋には色々なトロフィーがあるけど私にはない」

という言葉に着目。

そこから出てきた「その子が持つ病気をアドベンチャーに変えたら、MRIは楽しい体験になるのでは?」というアイデアから、アドベンチャーシリーズのMRIが生まれました。
完成したアドベンチャーシリーズ。楽しそう!

完成したアドベンチャーシリーズ。楽しそう!

このMRIには体験できるストーリーがあります。
まずはパイレーツの格好をした検査技師が子どもの前に現れ、
「今から冒険に出るんだ、辛いけど最後に宝物がもらえるよ」とMRIに送り出します。

そして検査が終わったら本当に宝箱をもらえるのです。

検査中は我慢するだけ辛い時間だった子どもたち。
このアドベンチャーシリーズでは、その時間が冒険の旅に変わりました。
口を揃えて「楽しかった!またやりたい!」と言うそうです。

これにより、ゼネラル・エレクトリック社はアメリカの小児病院のMRIでトップシェアになりました。

「MRI検査」という同じ体験なのに、デザインするだけでユーザーの体験はこれだけ変わる。機能ではなく体験を変える。

ここにイノベーションの種があるのだな、と感じました。

まとめ


今回みんデザとしても改めてデザイン思考の基礎を学び直すいい機会になりました。
デザイン思考のプロセスは、目的によってどこに着目するのかが変わってくる気がします。
吉成さんからは「企業がイノベーションを起こすこと」を軸に教えていただいたので、普段ビジネスに関わっている読者のみなさんも、自分の仕事に置き換えると何が起きるか?が想像つきやすかったのでは。

吉成さん、ありがとうございました!
78 件
この記事のキーワード:  

ワークショップ開催レポート