2020/06/16  カテゴリ 

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「デザイン思考でサービスデザインを考える」ワークショップは、オンラインでも実現可能?(後編) 

オンラインワークショップデザイナー・タキザワケイタ氏へのインタビュー!「オンラインならではの」ワークショップの可能性についてお聞きしました。

目次

オンラインワークショップを実践する際のアドバイスをお願いします。

ワークショップデザイナーの視点で言うと、リアルよりも緻密なプログラムデザインやファシリテーションが求められます。うまくデザインしないと「話したいことがあるけど、言うタイミングがなかった」みたいな人が出てしまったり、カメラをオフにしたまま途中で離脱されることも起こりうる。そういったオンラインならではのポイントを押さえたプログラムデザイン、ファシリテーションが大切です。

あとは、事前の準備がすごく大事です。事前案内やオリエンテーションで参加者のデジタルリテラシーやモチベーションを高めたり、Googleスライドを意図通りにスムーズに使ってもらえるようにシートをデザインしたり。そういった事前の準備がオンラインでは特に重要になってきます。

ファシリテーションでいうと、「リアルな場」がないというのが圧倒的な違いです。リアルのワークショップだと、「ワーク中にみんなが立ち上がって前のめりになっていく感じ」とか「なんとなく不安そうな顔をしている」とか、そういったさまざまな情報を場から感じ取っています。リアルでの実践経験が多い人ほど、その情報を奪われることに不安や孤独を感じると思います。
ただし、Googleスライドのようなツールを使えばワークの進捗を見ることが可能です。「この人はあまり進んでいないな」「このグループは良い感じ」といったことを視覚的に把握できるのは、オンラインならではですね。
それから、ファシリテーション力と同時にトーク力が求められます。オンラインだとファシリテーターの不安な様子はダイレクトに伝わりますし、単調な話が続くと参加者は飽きてきてしまう。気分としてはラジオDJですね。これは僕も苦手なのですが、場数を踏みながら「自分の身体をオンラインモード」に鍛え直しているところです。

afterコロナ時代のワークショップとは?

オンラインワークショップの様子

オンラインワークショップの様子

afterコロナ時代のワークショップについて、リアルとオンラインの関係はどうなっていくのでしょうか?

afterコロナの価値観はwithコロナがどれだけ続き、どういう体験をするか?によって変わってくると思うんですが、基本的にはオンラインがメインになる。そして、どうしても対面でやる必要がある場合のみ、リアルで実施する。また、オンラインだと長時間は厳しいので「2.5〜3時間のワークショップを、1・2週間のスパンで、継続的に実施していく」というスタイルになると思っています。

afterコロナ時代のオンラインワークショップの可能性はいかがでしょうか?

今はまだ、「リアルなワークショップをオンラインに置きかえる」ことがメインになっていますが、これから僕らがオンラインの可能性をどれだけ見つけられるか?にかかっています。
現在は、「エスノグラフィ」「インクルーシブデザイン」「レゴ®シリアスプレイ®」「グラフィックレコーディング」など、オンラインならではの可能性が見えてきたので、引き続き探求していきたいです。

最後に、オンラインワークショップを実施するうえで、こういうものがあればいいなというものはありますか?

オンラインの特徴を最大限に活かしたメソッド・ツールの開発にチャレンジしていきたいですね。例えば、「アバター」で女子高生になりきってみたり、参加者に「AI」がいてアーティスト、こども、宇宙人とブレストできたら楽しいですよね。あとはワークショップに限らず、オンライン会議でも使えるフレームワークやアイスブレイクなどもつくっていきたいです。

オンラインの弱点をカバーし、オンラインならではの可能性を最大限に生かすことで、リアルを超えるオンラインワークショップを実現していきます。

まとめ

オンラインワークショップの可能性はまだまだ未知数で、これから私たちが実践を通して見つけていくものなのかもしれません。その試行錯誤のプロセスこそが、タキザワさんのおっしゃる「デザイン思考でオンラインワークショップをデザインする」プロセスなのだと思いました。

タキザワさん、貴重な機会をどうもありがとうございました。
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