2019/09/01  カテゴリ 

よんでみた!

『システム×デザイン思考で世界を変える』日本人にぴったり合うデザイン思考って?

『システム×デザイン思考で世界を変える 慶應SDM「イノベーションのつくり方」』日経BP社を編集部で読んでみました。

こんにちは! みんデザ編集部です。デザイン思考に関する本を読み解いて、みなさんと一緒に学ぶ、「みんなの読書(通称:みん読)」のコーナー! 今回は、慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授・編著の『システム×デザイン思考で世界を変える』。

あれ、前野教授といえば……。そう、幸福×イノベーションワークショップの!! 実は講義パートで教えていただいた一部がこの本で触れられていました。

ワークショップに参加できなかった方も、一緒にここで学びましょう!

「システム×デザイン思考」は右脳的と左脳的、両方を組み合わせた考え方

本書のベースとなる考え方は「システム×デザイン思考」。さて? みんデザはデザイン思考のメディアですので、デザイン思考についてはみなさんご存知だと思います。では「システム思考」とはなんだろう? どうして、二つが組み合わさっているんだろう?

デザイン思考は、右脳的・「感覚」でイノベーションを起こす考え方。システム思考は、左脳的に「木を見て森も見る」論理的な活動。両方を組み合わせて、ものごとを考えるのが重要! 特に日本人にとっては、右脳的な活動は実はあまりなじみがなく、むしろ左脳的、システマチックな考え方のほうが合いやすい。自由に考えろ! と言っても、枠組みがないと考えづらい。この「規則がある感覚的」な考え方は、勤勉な(!?)日本人には向いている考え方だな、と思いました。

デザイン思考では、「発散」と「収束」を繰り返してアイデアを形づくりますが、発散のフェーズは右脳的、収束は左脳的。実はこのように、右脳的な要素と左脳的な要素を交互に使うんですね。

デザイン思考の解説書の中には、ともすれば、感覚的な説明が多く、構成も冗長で、「デザイン思考って結局どういうものんだろう?」「どこに何が書かれているんだろう」と読後にもやもやすることがあります。

しかし、本書では「イノベーションとはなにか?」「技法と活用事例」「実践的アドバイス」と3章でシンプルにまとめられているので、マニュアルとして、いつでも自分の欲しい情報をすぐに見つけられます!

共創のために使う16のツールをマスターする!

システム×デザイン思考の流れは、アイデア出しと検証の繰り返し

システム×デザイン思考の流れは、アイデア出しと検証の繰り返し

システム×デザイン思考の基本流れは、アイディエーション(アイデア出し)と、フィールドワーク/プロトタイピング(共有・共感・再発想と評価・検証)から成り立っています。

本書では、アイディエーションと、フィールドワーク/プロトタイピングの場で使える「16のツール」が解説されています! あれ、この16個のうち、ワークショップで使ったことのあるものが……

強制的にアイデアを発散させる! シナリオグラフ

いつ、どこで、誰が、何を、を強制的に組み替える

いつ、どこで、誰が、何を、を強制的に組み替える

シナリオグラフとは、まずアイデアをWho(誰が)、When(いつ)、Where(どこで)、What(何を)に分割をします。そして、その4つを好きなように組み合わせることで、突拍子もない新しいアイデアを見つけよう! というもの。そう、これはみんデザ第1回目のワークショップで、使いました!

一番面倒くさいことを、エクストリームにやってみよう! 「エクストリームめんどうくさい」 というお題でした。

一つひとつのアイデアは普通であっても、つなぎ替えたり、組み合わせを変えたりすることによって、「なんだこれ?」でも「意外といいじゃん!」を作り出すことができるのです!

親和図法! ただ単に分類するだけはなく、参加者間で合意を作り出す!

ただ分類するだけではなく、みんなで合意して分けていくの...

ただ分類するだけではなく、みんなで合意して分けていくのがだいじ

次は「親和図法」。名前は聞いたことがなくても、みんなのアイデアが書かれた付箋を意味が近い順に分類する。これはやったことがある方も多いのではないでしょうか。

「え、ただ分類するだけでしょう?」と思っていませんか? 大事なのは「参加者全員で合意しながら、分類すること」。一人で分けるのではなく、みんなで分ける「共創」の大事なプロセスですね。これも第1回第2回のワークショップ、両方で使っていますよ。

プロトタイピング! 手を使ってアイデアをカタチにする!

ブロックでリニューアルした店舗のイメージをつくる!

ブロックでリニューアルした店舗のイメージをつくる!

アイデアは紙に書いただけでは、ただのアイデアで終わってしまいます。カタチにして初めて、使う人に伝えられる! 「誰に」「何を」「どのように」感じてもらうかを考え、まずは完成度を求めずにカタチにしてみるのがだいじ!
その際によく使われるのが、粘土やブロックです。実際に手を動かしてものを作ることによって、「右脳モード」が活性化されます。文字をタイプするだけでは分からない、形あるものを実際に使うことによって、アイデアの改善が早くできるんですね。

みんデザのワークショップ第1回では、粘土を使って「エクストリームめんどうくさい」をカタチにしました。第2回では、ブロックを使って「新しいクニザケ屋像」を作っています!
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